日本、香港の高齢者・障害者の移動(STS・バリアフリー化)の現在と未来

2月24日(水)日本福祉のまちづくり学会関西支部主催の「日本、香港の高齢者・障害者の移動(STS・バリアフリー化)の現在と未来」ワークショップが関西STS連絡会で開催されました。プログラムの中で昨年9月の香港視察時にお世話になった香港復康会REX氏の講演が行われました。

 

香港では香港(HKSAR)を含む中華人民共和国が国連障害者権利条約(CPRD)に批准したことにともない2008年8月31日からアクセシブル・トランスポートを含む道路交通条例や立法、公共交通サービスと主要なインフラのバリアフリー化に向けた取り組みを行っています。

香港は総人口710万人で2013年における障がい者総数578,600人(8.1%)、身体運動能力に制約がある人の総数は320,500人(4.47%)。また障がい者総数のうち70才以上の高齢者が308,500人(53.3%)を占めています。

REX氏が所属する香港復康会は1959年設立のNPOです。ミッションを『障がい者および高齢者のためのリハビリテーションサービスを通じて、インクルーシブな社会を提唱する』とするとして障がい者、慢性疾患患者及び高齢者向け包括的リハビリテーションサービスを行っており主な取り組みは以下です。

①アクセシブルな交通・移動

②リハビリテーション部門

③長期介護部門

④国際・中国プログラム部門

  
香港復康会はSpecialized Transportation領域のプロバイダーとして1978年からHKSAR政府労働福祉局の助成を受けながらリハバス・サービスの提供を開始。

障がい者の通勤・通学、リハビリ訓練、その他の社会活動への参加、受診を容易にするために、公共交通機関を利用しにくい障がい者に特定地点から特定地点への特別交通サービスを提供しています。 

 
この他、2001年に開始した60才以上の病弱な高齢者とその付添人を公立の病院と診療所に送迎を行うイージーアクセス・バス、2003年からは移動困難者や海外からの訪問者向けにイージーアクセス・トラベル、2008年からは個別輸送を行うアクセシブル・ハイヤーサービスの提供を行っています。 

  

国の法律や法人規模こそはるかに違いますが、その取組や活動形態等が自法人の取り組みと重なる部分があり興味深く報告を聞かせていただきました。

また2008年に開催された北京オリンピック・パラリンピック時のエピソードをご紹介いただきました。当時のパラリンピックの選手団200名が事前合宿で香港を訪れた際、選手のリクエストで香港観光を希望され大変ご苦労されたといことでした。

なぜなら香港でも路面電車やピーク・トラム等の観光資源は車イスでは利用が出来ず、またアクセシブルな観光バスが供給不足だったからだそうです。

ひるがえって2020年に東京オリンピック・パラリンピック開催を控える日本でも同じような事が想像に難くありません。首都圏に限らず地方会場が予定されているここ大阪でも、移動や観光のユニバーサル化に向けた取り組みがより一層必要だと感じました。

                                      遠藤 準司

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